黒鉛とは何か? What is Graphite?
「黒鉛=グラファイト=石墨」とは、金属光沢を持った炭素(C)の同素体の一つで、ダイヤモンド・石炭・カーボンブラック・コークス等と同様、炭素の仲間ですが、これらとは結晶構造の違いにより、形状・性質が異なります。ちなみに、2010年ノーベル物理学賞を受賞し話題になったグラフェンは、層間化合物である黒鉛の一層をテープではがして得られた新素材です。
黒鉛の優れた特徴は、セラミックスの持つ優れた耐熱・耐久性とともに、金属の持つ高い電気および熱の伝導性も併せ持つ軽い材料で、硬度も1~2(ダイヤモンドは硬度10)とやわらかく、幅広い分野で黒鉛の特性が発揮されています。
黒鉛の性質 Characteristics of graphite
黒鉛は潤滑性に優れ、特に高温の雰囲気中、又は高荷重の場所においてもその特性は変化しません。メンテナンスフリーの潤滑法にも対応できるため、その用途が広がっています。
黒鉛の電気比抵抗は2〜4×10-2Ωcmで、銅、銀、金等の金属に比べやや劣るが、黒鉛は銅に比べ酸化されにくくかつ、銅・銀・金に比べて安価なため広い範囲で使用されています。
熱の伝達メカニズムは電気と同様であるため、黒鉛は優れた熱伝導性を示します。使用例としては耐火物、ゴム、樹脂等に添加して熱伝導性の向上を図っています。
黒鉛は酸化雰囲気中では、約500度以上の温度で酸化消耗が起こるが、非酸化雰囲気においては3,500度まで安定であり、優れた耐熱性を持っています。
製鋼用のマグネシアカーボン煉瓦をはじめ耐火物に多く使用されています。
黒鉛は炭素の共有結合性の結晶をもっており、非常に安定しています。従って酸、アルカリ両方の薬品に対して安定であり、高い耐薬品性を示しています。
黒鉛の分類 Classification of graphite
鱗片状黒鉛 ≪Flake Graphite≫
外観が葉片状の結晶で最も黒鉛化の進んだ黒鉛です。
主な産地は中国、ブラジル、ウクライナなど。
鱗状黒鉛 ≪Vein Graphite≫
脈状で産出する黒鉛で形状が塊状です。
産地はスリランカ。
土状黒鉛 ≪Amorphous Graphite≫
外観が土状または土塊状を示す黒鉛で非晶質です。
主な産地は中国など。
人造黒鉛 ≪Synthetic Graphite≫
石油コークス等を原料とする人造黒鉛電極の削り粉を
粉砕・分級したものです。
膨張黒鉛 ≪Expandable Graphite≫
鱗片状黒鉛に化学処理を行ったものが
膨張黒鉛です。
特殊処理黒鉛 ≪Special Treated Graphite≫
膨張黒鉛を熱処理にて発泡させたものを粉砕したもので、
嵩比重が高いものです。
球状黒鉛 ≪Spherical Graphite≫
鱗片状黒鉛を球状化。
粉末単体では、球状粒子のため垂直方向にも
黒鉛の特性を発揮します。